シカ科の野生動物動物・キョンが房総半島で大発生し、農作物への被害や「ギャーッ」っという不気味な鳴き声で住民の方が困っていると話題になっています。そこでキョンとはどんな動物なのか、どんな鳴き声なのか、また特徴的な四つ目や臭腺についても調査したいと思います。
千葉のキョンって何?どんな動物
千葉県の房総半島に住んでいる方や旅行に行ったことがある方なら、夜間に山や森の中から突如聞こえる「ギャーッ!」っという不気味な声を聴いたことがある人も多いはず。
この声の主がシカ科の野生動物「キョン」です。
体長47~70cmで見た目的には小さいシカ。正直かわいらしくさえあります。
このキョンが近年千葉の房総半島で大発生し、住民の方を困らせ、環境省指定応特定外来生物として駆除の対象になっているというのです。
- シカ科ホエジカ属
- 生息地 中国南東部および台湾
- 体長 47~70cm
- 体高 45~50cm
- 体重 12~17kg
- オスに7〜8cmの角
- 目の下方に臭腺と呼ばれる穴があり、これが眼のように見えるため別名四目鹿(ヨツメジカ)とも
- 環境省指定特定外来生物
【音声あり】千葉のキョン「ギャーッ」っという不気味な鳴き声
こちらがその「キョン」の鳴き声。
キョンの鳴き声
— 友人(野生) (@GtYb1nWNyK1W1m5) July 2, 2023
シャラポワがサーブ打つ時の声に似てる pic.twitter.com/Gq4Ic8PDhZ
正体を知らず夜間、暗闇の中からこの声が聞こえると、まるで人が叫んでいるかのようでものすごく不気味です。
私も房総半島でキャンプをしているときに何度も耳にしました。
朝になってテントの周りを見るとコロコロとしたシカのような糞が散らばっているのが確認でき、「ああ、あれはキョンの鳴き声だったのか」と気づきました。
そしてさらに厄介なのが、捕獲されたとき。
「キィー」とか細く悲鳴のように泣く様子は、まるで命乞いをしているようです。
駆除にあたるハンターの方たちもこの鳴き声を聴きながら、止めを刺すのは辛いそう。
千葉のキョンの「四ツ目」、「臭腺」とは
キョンは別名「四ツ目」とも言われています。
目の下方に臭腺と呼ばれる穴があり、時にこれがつむった眼のように見えるのです。
これもまた「気持ち悪い」と言われる原因の一つかもしれません。
また、このもう一つの「目」に見える穴は「臭腺(しゅうせん)」と呼ばれニオイのする物質を分泌しており、これを木などにこすりつけて縄張りを主張するそうです。
しかもこのパクパクと口のように「臭腺」、開いたり閉じたり……その様子もちょっと気持ち悪いかも。
日本でも外来の小さいシカとしておなじみのキョンだが、おでこと目の下にある臭腺がこんなにぱくぱく動くものだとは知らなかった。この開閉運動でにおい物質をなすりつけて分泌するのか。ちょっとキョンを見る目が変わっちゃうな。 https://t.co/0bBcEafj3w
— 中島保寿(古生物学者) (@japanfossil) January 5, 2023
千葉のキョンなぜ房総半島で大発生?どこから持ち込まれた?
キョンは外来生物、つまり元々日本の自然界にはいない動物です。
ではなぜそのキョンが房総半島で大発生しているのか。
それはかつて房総半島南部・勝浦市にあった「滑川アイランド」というレジャー施設で飼育されていたものが逃げ出したためです。
房総半島の海と山に恵まれた環境で、南国系の動物・鳥類や熱帯植物・プール・ホテル・野外ステージが整備された一大リゾート地として開発・運営されていた。特にフラミンゴショーやクジャクの飛行ショーが有名で、野外ステージでは南国のダンスショーやヒーローショーがあり、夜間は宿泊客のためにバーベキューディナーとダンスショーが行われていた。入場者数と売上高の減少が続いたことなどにより、2001年8月に閉園となった
Wikipedia
こちらが2020年の房総半島でのキョンの生息域。
ここ20年ほどでめちゃめちゃ拡大しています。
房総半島では深刻な農作物被害があるということで、農家のみなさんが困っているのです。