ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、ジャニーズ事務所が会見を行いました。メディアのジャニーズ事務所への忖度についても記者から質問が上がりました。MステにDa-iCE・JO1、古くはDA PUMPやw-inds.が出演しないのは忖度なのか、調べてみたいと思います。
そもそもメディアはジャニーズに忖度してきたのか?
ジャニーズ事務所に対するメディアの忖度があったのかどうかは、3月にBBCがこの問題に関するドキュメンタリー番組を放送した際に多くの日本のメディアがニュースとして取り上げていなかったことからも明らかですよね。私も当初このニュースについてはネットで知ったのが現状です。
あまりこの問題に関心のない人も「やっぱり忖度してるんだな」と受け取ったと思います。
メディアはジャニーズに対して実際にどんな忖度をしてきたのか
代表的なメディア忖度の1つに、「音楽番組にライバルの男性アイドルを出演させない」。というものがあります。人気全盛期のDA PUMPやw-inds.が出演できなかった時には、あまりアイドルには興味のない私も「不自然」「なんか気持ち悪いな」と感じたのを記憶しています。
質疑応答では、テレビ朝日系音楽番組「ミュージックステーション」(毎週金曜よる9時~)について、同事務所からの“圧力”があるため、男性アイドルとしての競合に当たるDa-iCE、JO1、INI、BE:FIRST、過去にはDA PUMPやw-inds.らが出演できなかった事例を列挙。それに加え、元所属タレントについて元SMAPの稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾による新しい地図が地上波に復帰するまで時間がかかったこと、King & Princeを脱退し、「TOBE」に移籍した平野紫耀や神宮寺勇太、IMP.の今後の地上波出演の有無などを挙げ、「こうした忖度はまだ続いたほうが良いと考えますでしょうか」と東山へ投げかけ。記者は、そういったテレビ局のことを「戦争が終わったことを知らずにジャングルから出てこられない」と比喩し、新社長に就任する東山の言葉がないと忖度の停止に踏み切れないのではないかと推測した上で改めて今後忖度しないことを明言してほしいと求めた。
Yahoo!ニュースより抜粋
この質問に対して東山新社長はこのように応えています。
東山:もちろんです。忖度は必要ないと思っています。
忖度はジャニーズの指示だったのか?
同会見でこれら忖度についてジャーナリストの松谷創一郎さんは
「これは、過去にジャニーズ事務所がかけたプレッシャーに起因し、こうした構造が結果として喜多川氏による性加害という事態を招いたと述べ、「テレビ局が共犯というのはまさにこういう点にある」と発言した。
HUFFPOSTより引用
これらプレッシャーやメディアコントロールについて事務所側は
ジュリー:指示したことは一切ございません。
ジュリー:見聞きしたわけではないが、以前そういうことがあったのかもしれない。あった、というのは疑惑を知っているという程度で、「メリーが誰々を出すな」と言ったというのは聞いたことはない。
と発言。
また井ノ原氏はメディアによる忖度について
井ノ原:こういう立場になって、これはなんでこうなんだろうと疑問に思うこともあって、「なんでこうなの?」と聞いたら、「昔、ジャニーさんがこう言ったから」と言うんです。ちょっと昔のタイプのスタッフがいたのも事実。
とも発言しています。
つまり「忖度しろ」「ライバルタレントを使うな」とは公言はしていないけど、何等かのプレッシャーはあったのかもしれない、ということを伺わせます。
なぜメディアはジャニーズに対して忖度し続けたのか
私のように芸能問題に疎い人間からすると「なんでそこまでしてジャニーズタレントを起用するのかな」と単純に疑問に思ってしまうのですが、そこはもちろんお金の問題と考えると納得がいきます。
つまり
テレビ局は「ジャニーズタレントを起用すると圧倒的に視聴率が稼げる」という事実があります。
そして視聴率が稼げればスポンサーによるCM料も跳ね上がります。
また、テレビ番組への出演以外に、ジャニーズタレントはスポンサー企業のCMに起用されることもあります。
以前、スポンサー企業に勤めていた知人から、ジャニーズタレントを起用すると「売上がぜんぜん違う」と聞いたことがあります。ジャニーズファンの購買力というのは相当なものなのでしょう。
ジャニーズタレントがテレビ番組に出演することで
テレビ局側には「高視聴率とそれに伴う高額なCM料が約束される」というメリットが、
スポンサー企業には「商品が売れる」というメリットが
ジャニーズ事務所には、テレビ出演料、CM出演料が入ってくる、新たなファンの獲得、自社で運営・販売するコンサート、CD、DVDの宣伝になるというメリットがあったと考えられます。
そしてジャニーズタレントを使えば使うほど、ファンも増えて視聴率も企業の利益も、ジャニーズ事務所の売り上げも上がって行くっていう連鎖があったんだろうな、と想像できます。
つまりWin-Winの関係ってやつですね。こう考えると忖度というよりも経済的メリットを優先しての選択……って気もしないでもないですね。
でもこの関係の結果が、何十年もジャニー氏の性加害を放置することになろうとは……・。昔見たあの番組、毎週楽しみにしていたあの番組――記憶の中の華やかなブラウン管を思うと暗澹たる気持ちになります。
これからは忖度しないで人気・実力に応じてテレビで見られる時代
今回の会見では今後の体制について
東山:ファンの人たちがいてこそなので、これは忖度とかそういうの関係なく公平に行くべきだなと思っています。
と語っています。
テレビ局は公共性が求められる報道機関であると同時に利益を追求する企業でもあるわけで、視聴率や、スポンサー企業への忖度をしないというのは難しいのかなというのが率直な感想です。
ですが……今後、メディアがどういうタレントを起用して、どのような企業をスポンサーにつけて放送活動を行っていくかは、私たちも視聴者・消費者として注目していきたいですね。
個人的にはジャニーズタレントは魅力も実力も申し分なく、ステキな方がたくさんいると思っています。でもそれ以外の芸能事務所に所属する方や、所属していない方も人気や実力、努力に応じて活躍している姿が見られたら、さらに面白いテレビになるんじゃないかなと思います。